週刊現代と誤謬の問題
「先生、ゲンダイなんであるんすか?」先週オフィスに入って来るなり、ちんが尋ねた。
「取材されて、それが記事に載ってるのよ。」
先週の週刊現代で特集された「長寿人気番組NHK『のど自慢』の秘密」という記事で取材を受けた。

日本人なら殆どが知っている、日曜お昼の『NHKのど自慢』。
何年か前にNHKのど自慢について研究したことがある。テーマのユニークさや面白い調査結果だったこともあり、元NHKアナウンサーの宮本隆治氏も加わった紙面座談会も行なった。
私の研究の中でも異色のものだったけど、のど自慢の予選や本選の参与観察はむちゃくちゃ面白く、今でも鮮明に記憶している。
その調査結果を読んだ記者が興味をもち、取材を申し込んできたわけ。
マスメディア、それも週刊誌の取材だから、こちらの話は適当に変えらているだろうと予測の上で、編集部から送られてきた記事を読んだ。
私たちの調査では、司会者と出場者のやり取り(440事例)の分析から、のど自慢にこめられたメッセージを6つのテーマに分類していた。これはNHKが伝えたいメッセージと言い換えることができる。この調査結果について、週刊現代では「この6つの類型のどれかに当てはまるエピソードと唄をこしらえておけば、俄然出場の確率は高くなる、ということだ」と書いている。

うん? ちょっと待って…何か変よね、この前提と結論。
確かに出場したケースは6つの類型に当てはまる可能性が高いけど、6つの類型に入るからといって出場の確率が高くなるとはならない。
「AならばB」という前提から「BならばA」と導き出す、所謂、誤謬(ゴビュー)の問題じゃない?
これはうちのゼミ生もよくやるミス。というか、誰でも日常的にもやるミスでもある。
「偉い人は勉強している」から、「勉強しないと偉い人になれない」とか。
「沢山食べると太る」から、「太っている人は大食い」とか。
まあ、私たちの調査結果を参考にして、NHKのど自慢に出場できる可能性が高くなったら、それはそれで嬉しいですけどね。でも、こういった間違いはやっぱり気をつけよう。
ということで、この記事、鐘一つでした。カーン♪
かなとも
- Published:
- 6.22.10 / 3pm
- Category:
- かなとも事
